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冒険 & カヌーAdventure & Canoe

16 盛大に「進水式」を開催

「進水式」は授業参観日の代休日にあたる9月22日(月)に、多摩川で実施することにした。 国土交通省の管理事務所に書類を提出して河川使用の許可をもらった。 地元の漁業組合長さんに連絡をとって、船遊びをすることの了解も得た。 そして助言に従って、1週間前から、河川敷に立て看板を立て、カヌー遊びの予告をした。 これらの手続きを怠ると、高い入漁料をはらって釣りを楽しんでいる人々が怒って石を投げつけてくるらしい。 特に多摩川ではそういうことがあると、カヌーイスト野田知佑氏の著書に書いてあったので慎重に準備を進めたのだ。 いよいよ当日の朝がきた。出勤した私が、進水式の予定場所の様子を見に行くと、前日の台風の大雨の影響で、 多摩川は増水し、黒く大きくうねっていた。この急流ではたちまち遭難すること必至であろう。ふと思いついて、 学校の南側の校庭側を流れる支流の「大栗川」の様子を見に行った。 すると、普段はカヌーをやるには水が少なすぎる大栗川が、増水してちょうど良い深さになっているではないか。 マスコミ各社からは、この台風後の状況で本当にやるのかと、次々に電話での問い合わせがきたが、 私は自信を持って決行を伝えた。 集合時刻が近づくと次々に生徒や保護者が集まってきた。生徒は約50名。 教職員は休日だというのに半数以上の15人も集まってくれた。 お手伝いのPTA役員を中心とする保護者も20人ほど集まり、お昼の焼きそば作りの準備に取り組んでくれた。 ラジオがカヌーを運ぶ生徒たちの姿を中継し私の談話を流す。地元のケーブルテレビ局がカメラを回す。 読売、朝日、東京、その他教育新聞等の新聞記者たちが生徒たちにインタビューをする。 なんともにぎやかな雰囲気の中で、川原に色とりどりの8艇のカヌーを並べて進水式を行った。 内訳は、昨年生徒が作ったカヌーが1艇、その後島崎さんが一人で作り上げたカヌーが1艇、私のカヤックが1艇、 今年度作製したカヌーが4艇、そして島崎さん所有の市販カヌーが1艇である。 私が挨拶をした後、生徒・保護者・ボランティアの大学生・教職員の代表4人が今年新たに作った4艇の船首に、 「多摩源流水」をふりかけた。その水は、私が先の日曜日に、多摩川源流のある小菅村までオートバイを 走らせて仕入れてきたものだ。川原に大きな拍手が響き渡った。そして、2人組になった生徒たちが、 次々にカヌーに乗り移り川面にこぎ出した。流れはゆるやかで、水量は台風のおかげでちょうど良く増水している。 生徒たちは歓声を上げながら水面をゆったりと漂った。黄色や青やピンク色の色とりどりのカヌーが川岸の緑に映える。 思わぬちん入者に驚いて、時折鯉がぴしゃりと水上を舞う。突然1艇のカヌーがひっくり返って男子生徒が水に落ちた。 その様子をしっかりとテレビカメラが追う。なんと楽しくかつ牧歌的な風景だろうか。 昼にはPTAの母親たちが用意した100人前の焼きそばをみんなでたいらげ、 川遊びを満喫した生徒たちは家路についていった。その日の様子は後日、次々に新聞や地元のテレビで紹介された。 かくして、大きな満足感を残して「手作りカヌープロジェクト」は大成功に終わった。 次はいよいよ「富士五湖すべての横断」に挑戦である。
読売教育賞受賞『手作りカヌーで富士五湖横断』
1 全国ニュースで紹介されたカヌーの取り組み 2 校長着任時の学校の状況 3 荒廃の原因の考察
4 生徒と教職員の一体感のある学校を作りたい 5 若い技能主事と教育相談員の提案 6 校長室がキャンプ場に変身
7 プールでのデモンストレーション 8 カナディアンカヌーとは何か 9 作製そして完成
10 「西湖」の横断に成功 11 「特色ある教育活動予算」が認められる 12 学生ボランティアや卒業生も参加
13 ターゲットの生徒たちも参加する 14 マスコミの取材攻勢 15 グラスファイバー塗装に挑戦
16 盛大に「進水式」を開催 17 不登校学級の生徒たちが、「西湖」横断に成功 18 友情を確かめ合った「本栖湖」横断
19 卒業生が「山中湖」横断を断念 20 新入生が「山中湖」横断に成功 21 大雨の中「精進湖」横断に成功
22 ついに「富士五湖」完全制覇 23 荒れた学校の奇跡的な変容  
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冒険(カヌープロジェクト) ★ 2006年夏
カヌー製作編
★ 2006年夏
カヌー川下り編
★ 2007年夏
カヌー川下り編
★ 2008年夏
カヌーキャンプ
手作りカヌーで
富士五湖横断