冒険 & カヌーAdventure & Canoe
6 校長室がキャンプ場に変身
翌朝、登校して校長室に入った私は目を見張った。テント、テーブル、ランタンなどのキャンプ道具がところ狭しと置いてあるではないか。
それらは、二人がさっそく私に無断で運び込んだものに違いない。うーん、何というやつらだと思いながらも、
内心私はわくわくしていた。二人にはまだ言ってはいないのだが、実は私も若いころからのアウトドア大好き人間だ。
しかもカヌーについてはかなりの経験者だった。
翌日、私も負けじと長さ4メートルの折りたたみ式のカヌーを校長室に運び込んだ。
若いときに塩化ビニール製の工事用パイプやテント地などの材料を買い集めて作った手作りのカヤックである。
それを持って家族で車で北海道に旅行に行き、釧路川で川下りをして遊んだこともあった。
雰囲気を盛り上げるために私は、儀式などで校旗をたてるためのポールスタンドを校長室に持ち込み、
大きなランタンをぶら下げた。校長室に入ってきた教職員は皆首をかしげてそれを眺めた。
開け放したドアから不思議そうな顔でのぞき込む生徒に私は声をかけた。
「雑草をおかずに飯を食う。トイレでは葉っぱで尻をふく。命をかけて湖を漕ぎわたる。
そういうキャンプだ。君も一緒に行こう。」すると生徒たちは皆、顔をしかめてしり込みをした。
私は学校だよりで全校生徒240人と保護者に参加を呼びかけた。島崎さんは昇降口にポスターを張り出した。
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|ベニヤ板で組み立てるカナディアンカヌー作りに挑戦しませんか。 |
|完成したら、みんなで富士五湖でキャンプをして遊びましょう。 |
|製作期間は、夏休み中の火・木曜日。参加費は無料です。 |
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