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元校長お勧め100冊Recommendation

「読書の旅の羅針盤」では、小金井市小金井第一中学校元校長
「山本 修司」がお勧めする中学生に読んでもらいたい本を100冊紹介します
なお、この紹介は「学校便り」に紹介されたもので、元山本校長の許可を頂き掲載しているものであります。
:短時間で楽しめる本   ★★:じっくりと味わえる本   ★★★:ちょっと難しいが視野が広がり人生観が深まる本
  書籍名 著 者 コメントなど
★★
中級
090 太平洋ひとりぼっち
(福武文庫)
堀江 謙一 今から45年前、一人の青年が、小さなヨットに乗って太平洋を渡ってアメリカ大陸に到達した。
日本人として初めての快挙であり、サンフランシスコ市民からは大歓迎を受けた。
これは大冒険に挑戦した若者の情熱あふれた記録である。嵐にほんろうされる木の葉のようなヨット。
はらはらしながら読み終えて、自分もまた90日をかけて太平洋を渡ったような達成感を味わうことができる。
★★
中級
091 僕は涙の出ない目で泣いた
(扶桑社文庫)
川畠 成道 天才バイオリニストとして国際的に評価されている川畠成道さんの自伝である。
彼は8歳のときに薬害で視力を失ってしまった。
以来、両親の献身的な支援を受けながらすべてのエネルギーをバイオリンに注ぎ続けた。
その家族愛と音楽への情熱に感動せずにはいられない。私は2回泣いた。最初は本を読んだときだ。
2回目は本を読み終えてから店に走ってCDを買ってきたときだ。その世にも美しいバイオリンの音色を聴いて、
中畠さんの魂に直接触れたような気がして涙がこぼれたのである。
まことに音楽とはすばらしい。読むべし。聴くべし。
★★
中級
092 ミクニの奇跡
(新潮文庫)
松木 直也 フランス料理の名人として有名な三國清三さんの半生記である。
15歳のときに一流の調理師になる夢を抱いた彼は、調理師学校を終えると強引に札幌グランドホテルに頼み込んで就職した。
そしてだれよりも熱心にピカピカに鍋を洗い、仲間の何倍も料理の勉強に打ち込んだ。
そして帝国ホテル、スイスの日本大使館、フランスの三つ星レストランなどで腕を磨いた彼は、
ついに世界が認める一流シェフとして現在の地位を築いたのである。
まるで豊臣秀吉のような痛快な立身出世物語である。私たちの身の周りには、自分の夢を実現するための大きなチャンスがあふれている。
ただそのことに気付かないで、努力する時機を逃している人が多すぎるのだ。
そんなことをこの本は教えてくれる。
★★
中級
093 捕鯨船団 女ドクター南氷洋を行く
(集英社文庫)
田村 京子 どくとるマンボウ航海記」の女性版である。
昭和59年10月、第39次南氷洋捕鯨船団の母船「第三日新丸」(2万3千トン、総員252名)は、
4隻の捕鯨船(総員79名)を引き連れて7か月に及ぶ大航海に出発した。
捕鯨に対する国際的な批判の高まりの中で、日本でただ一隻残った捕鯨母船だった。
そのとき、戦場のような男の世界に史上初めて一人の女性が乗り込んでいたのである。
それが医者の田村京子さんだった。病人やけが人が続出する中で奮闘する日々をつづった文章は、とても読みやすく、
筆者の行動や気持ちが手にとるように伝わってきて共鳴する。
海の男たちから女神のように慕われた筆者が、長い航海を終えて帰国したときに船員たちと別れる場面では、もらい泣きをせずにはいられない。
★★
中級
094 面白くても理科
(講談社文庫)
清水 義範 清水義範氏の作品はどれもがユーモアにあふれている。
しかし、ふざけているようで実は人生の真実や矛盾点を鋭く指摘している作品が多い。
例えば「国語入試問題必勝法(講談社文庫)」は、全編冗談のように書かれているにもかかわらず、
国語教師の私が思わず「なるほど」とうなずいてしまったくらいだ。
しかし彼の作品はあまりにも奇想天外すぎて、中学生には少し刺激が強すぎるかもしれない。
その中でこの「面白くても理科」は断然お薦めの作品である。
「慣性の法則」「時間とは何か」「環境破壊と人類滅亡」等の真面目なテーマについて、実に楽しく語っているのである。
西原理恵子のイラストも爆笑ものだ。これを読んで、もっともっと理科を好きになろう。

初級
095 頭の体操 1~
(知恵の森文庫)
多湖 輝 これは単なるクイズの本ではない。日常生活で私たちの頭は平凡な常識で凝り固まっている。
それを打破したとき、初めて物の本質がはっきりと見えてくる。その驚きと感動を繰り返して教えてくれる本なのだ。
作者は大学教授にして「クイズの神様」である。
はるか昔、高校生の私は、次々と出版される本書のシリーズを買ってきては友達と競争しながら夢中になって解いた。
現在私は、ある会議で多湖先生と定期的にお会いしている。
初めてお目にかかったとき「授業の最初にクイズを出したら生徒は喜ぶでしょうね」と私が言ったら
「いやいや、クイズよりマジックの方が受けるよ」とおっしゃるのでびっくりした。同時に発想の柔軟な人なのだと感心したものだ。
長年クイズで頭を鍛えてきたからだろう。

初級
096 イチロー物語
(中公文庫)
佐藤 健 「イチロー」は世界のスーパーヒーローである。
その誕生の背景には、大きな夢を抱く我が子に対して驚くほど的確に支援する家族の存在があった。
本書は、イチローがプロチーム入団3年目にして200本安打という大記録を打ち立てた直後に書かれたものである。
小学校時代からプロになるまでのイチローの姿が描かれている。親が読んで子育ての参考にするべき本であるとも思う。

初級
097 ラヴレター
(角川文庫)
岩井 俊二 この作品は映画として10年ほど前に公開された。それを監督自身が小説化したロマンチックな物語である。
主人公の女性は、山で死んだ恋人の中学校時代のアルバムから、彼の昔の住所を知った。
そしてほんのいたずら心でその住所あてに手紙を出す。ところが死んだはずの彼からなんと返事が届いた。
そして文通をするうちに、次第に今は亡き恋人の中学校生活が明らかになってくる。
それはいかにも中学生らしい純粋さに満ちあふれた恋の物語だった。気軽に楽しめる作品である。

初級
098 落語的学問のすすめ
(新潮文庫)
桂 文珍 再び書く。日本はユーモアの先進国である。その証拠として落語という伝統文化が脈々と続いている。
その落語家が大学からスカウトされた。文学部の学生に対して週に一回講義をやれというのだ。
さてどんな授業になったのだろうか。本書はその授業をそのまま活字にしたものである。全編笑いにあふれている。
これも勉強の合間に気軽に楽しめる本だ。
★★
中級
099 タイムマシン
(角川文庫)
H・G・ウェルズ 「空想科学小説」というジャンルがある。H・G・ウェルズはそのジャンルの神様である。
彼の描く世界は決して荒唐無稽な想像の産物ではない。科学的な説明には説得力があり、人間存在の根本的意義を問う哲学的考察に満ちている。
本書はタイムマシンを発明した男が目撃した、80万年後の未来社会のレポートである。
その中で作者は人類の悲劇的な末路を鮮やかに描いている。
百年前に書かれた小説なのに、その文明批評は今なお新しく鋭い。読者の胸に突き刺さってくる。
中学生には早過ぎる31冊
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