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元校長お勧め100冊Recommendation

「読書の旅の羅針盤」では、小金井市小金井第一中学校元校長
「山本 修司」がお勧めする中学生に読んでもらいたい本を100冊紹介します
なお、この紹介は「学校便り」に紹介されたもので、元山本校長の許可を頂き掲載しているものであります。
:短時間で楽しめる本   ★★:じっくりと味わえる本   ★★★:ちょっと難しいが視野が広がり人生観が深まる本
  書籍名 著 者 コメントなど
★★★
上級
070 小説 上杉鷹山(ようざん)
(集英社文庫 全2冊)
童門 冬二 かつてアメリカの若き大統領ケネディは、尊敬する日本人として「上杉鷹山」の名を上げたという。
江戸時代という封建社会のまっただ中にあって鷹山は、「藩主は人民と国家のために存在するので、
人民と国家が藩主のために存在するのではない。」と明言した。
フランスの人権宣言以前のことだというからすごいではないか。
17歳で米沢(今の山形県)藩主となった鷹山は、漆(うるし)・桑(くわ)・楮(こうぞ)の各100万本植立計画を実施して養蚕業や絹織物業を奨励した。
そして数々の大胆な藩政改革によって危機的状況にあった藩の経済の立て直しを図ったのである。
このような偉人の伝記を若いうちに読むことは大切なことだ。
政治に対する市民の認識力の高まりこそが、良い政治家を生み出すもとになると思うからである。

初級
071 時をかける少女
(角川文庫)
筒井 康隆 筒井康隆という天才的作家がいる。
私は好きなのだが、あまりにも破天荒な作品が多く、中学生に推薦できるような作品がほとんどない。
その中で「時をかける少女」は永遠の青春ドラマというべきお薦めの作品である。
ある日、中学3年生の和子は、理科室の掃除を行っていた時に、
実験室でラベンダーの香りを嗅いで意識を失う。
その直後から、和子は時間と空間を移動する超能力が身につき、
次々に不思議な事件に巻き込まれる。気軽に楽しめる本である。
★★
中級
072 O・ヘンリー傑作選
(岩波文庫)
O・ヘンリー 病室の窓から見える木の枯葉の最後の一枚が散ったときに自分の命も消えると信じている娘を描く「最後の一葉」。
この作品に代表されるように、O・ヘンリーの作品はどれも、はらはらする展開、あっと驚く結末、
心にじーんと響く温かい人情にあふれ、小説を読む楽しみと喜びを十分に味わわせてくれる。
一度読んだらたいていの人がはまってしまうことだろう。
特にこの作品集のなかでは、若いタイピストのしゃれた恋の結末を描く「献立表の春」が私は一番好きだ。
最後の1行でほろりと泣かされてしまう。
★★
中級
073 三国志
(ハルキ文庫全13巻)
北方 謙三 古代中国の英雄たちの戦いを描く、だれでも知っている戦史物語。心の豊かな劉備(りゅうび)、
豪快な関羽(かんう)と張飛(ちょうひ)、天才参謀の諸葛孔明(しょかつこうめい)の4人が中心となって
壮大なスケールで物語は展開する。
読みながら自分はどのタイプだろうかと、登場人物と重ね合わせて読むのも興味深い。
私はかつて岩波文庫の完訳版(全10巻)で読んだのだが、中学生には言葉が難しすぎると思って推薦するのをためらっていた。
今回のシリーズは快適なテンポで楽しく読める文章で描いたもの。
全13巻という膨大な分量だが、読み出したら止まらなくなること間違いない。
横山光輝のマンガで親しんだ生徒も多いことと思うが、やはり映像より活字の方が想像力が刺激されて何倍も面白い。

初級
074 強力伝・孤島
(新潮文庫)
新田 次郎 厳しい自然や山を舞台にした物語と言えば、この作者の右に出る人はいない。
若いころに長編の「槍ヶ岳開山」と「孤高の人」を読んで感銘を受けた私は、山を一人で歩く楽しみに目覚めたのだった。
本書は、50貫(180キロ)近くもある岩を一人で背負って白馬岳山頂に運び上げる男を描き、
直木賞を受賞した「強力伝」、厳冬の八甲田山の行軍訓練で199名の命を失った史実を描いた「八甲田山」、
富士山頂の観測所設立に尽力する技師を描く「凍傷」等の6編が収められた短編集である。
特に、落とし穴に落ちた人間と山犬の緊迫した攻防戦を描く「落とし穴」は面白かった。
短編小説としては最高傑作の一つに数えてよいのではないかと思う。
★★
中級
075 僕たちの戦争
(双葉文庫)
荻原 浩 戦争を体験した人たちがどんどん少なくなっていく。そのことが戦争再発の原因の一つにもつながるような気がして不安である。
だから戦争の悲惨さを語り継ぐことは平和な世界を維持するためにも重要な課題と言えよう。
本書は、サーフィンをやっていたフリーターの若者が、突然の異変で太平洋戦争末期の飛行訓練兵と入れ代わるという場面から始まる。
年齢や姿形がほとんど同じ若者が、まったく見知らぬ社会に放り出されたらどうなるのか? 
どたばた喜劇風の会話も多く、笑ってしまう楽しい場面が沢山あって楽しく読める。
だが否応なく戦争に巻き込まれていく若者や市民の立場にいつの間にか立たされ、
戦争について真剣に考えざるを得ないようになっている展開が絶妙である。
戦時中の純粋な日本の若者が現代日本の風紀の乱れや軽薄な文化の氾濫を目にして
「こんな国を守るために自分は命を捨てようとしたのか」とつぶやく文明批判は痛烈である。
昨年の9月にテレビドラマ化された。絶対お薦めの作品。

初級
076 スピルバーグのアメージング・ストーリー(1・2)
(新潮文庫)
スティーブン・バウアー アメリカのテレビ番組に「トワイライト・ゾーン」や「世にも不思議なアメージング・ストーリー」など、
恐怖とサスペンスとユーモアと不思議がギッシリつまった短編ドラマのシリーズものがある。
私は大好きでこれまでにビデオもほとんど見た。
本書はその小説版であり、奇想天外な展開と結末に大いに楽しめる作品ばかりである。
特に第2巻の「時は金なり」は興味深くて私は何度も読み返した。
★★
中級
077 シャーロック・ホームズの冒険
(新潮文庫)
コナン・ドイル 名探偵ホームズは、永遠のヒーローの一人である。
小学生のころに読んだ人も多いと思うが、大人になって完訳版を読み返しても面白い。
ホームズの天才的な観察眼と推理力に舌を巻きながら、秋の夜長を読書の楽しみにふけるのは、ささやかな幸福というべきだろう。
それにしてもどうしたらこんなアイディアとストーリーが考えつくのだろうか。
コナン・ドイルの天才ぶりには感心するばかりである。
★★
中級
078 アクロイド殺し
(ハヤカワ文庫)
アガサ・クリスティ 膨大な傑作ミステリーを残したアガサ・クリスティであるが、特にこの作品は、真犯人がびっくりするような人物であることで名高い。
読み終えて、結末にあっと驚き、思わずもう一度最初から読み返して納得する人も多いらしい。
しかし私は、半分くらいまで読んだところで真犯人がわかってしまったのだ(自慢)。
果たして君は何ページ目で犯人がわかるか? 挑戦してみよう。
★★
中級
079 グリーン・マイル(1~6)
(新潮文庫)
スティーブン・キング その作品のほとんどが映画化されていることでも有名なミステリー作家、スティーブン・キングの代表作である。
私はキングのファンで、ほとんどの作品を読んでいるのだが、この作品はテレビでも見て感銘を受けた。
超能力をもつ死刑囚の純粋な魂に涙がこぼれた。他にも中学生へのお薦めの作品としては「スタンド・バイ・ミー」がある。
中学生には早過ぎる31冊
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