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元校長お勧め100冊Recommendation

「読書の旅の羅針盤」では、小金井市小金井第一中学校元校長
「山本 修司」がお勧めする中学生に読んでもらいたい本を100冊紹介します
なお、この紹介は「学校便り」に紹介されたもので、元山本校長の許可を頂き掲載しているものであります。
:短時間で楽しめる本   ★★:じっくりと味わえる本   ★★★:ちょっと難しいが視野が広がり人生観が深まる本
  書籍名 著 者 コメントなど
★★ 050 名人伝・山月記
(新潮文庫他)
中島 敦 中島敦は、わずか20編ほどの短編小説を残し34歳で早世した作家である。
しかし漢文調のその文体は格調が高く、傑作と讃えられる作品が多い。
「名人伝」は、修行を重ねて天下の弓の名人になった記昌(きしょう)の物語である。
さらに道を究めようとして修行に打ち込んだその果てに、驚くべき結末が待っていた。
「山月記」は、才能があるのに他人と切磋琢磨(せっさたくま)することを避けた詩人、
李徴(りちょう)の悲劇を描いた物語。「臆病な自尊心」がすべての原因だった。
そしてその「臆病な自尊心」が肥大し続けた結果、ある日突然、李徴は虎に変身してしまう・・・。
2編とも、人間はどう生きるべきかということについて教えられる作品である。

初級
051 勝手にしゃべる女
(新潮文庫)
赤川 次郎 私の失敗談である。
昔、私が教師に成り立てのころ、休み時間の教室で赤川次郎の本を読んでいた女子生徒がいた。
くそまじめな国語教師だった私は、そのとき「それは読書の合間に読む本だね。」などと
大変失礼なことを言ってしまった(らしい)のであった。
10年近くたったクラス会の席で、彼女が「あのとき私は、ずいぶんと傷ついたんですがらね。」
と笑いながらお酒をついできたとき、私は大いに反省したのであった。
とにかく赤川次郎の小説は中学生がとても楽しく読める作品が多い。
この本は星新一も絶賛する楽しい短編小説集である。中でも「レオンディングの少年」「健ちゃんの贈り物」が私は好きだ。
★★
中級
052 MOMENT
(集英社文庫)
本多 孝好 大学生の「僕」は病院で清掃のアルバイトをしている。
その病院の患者たちの間には一つの言い伝えがあった。
それは、死が近づいた患者の最後の願いを叶えてくれる不思議な人が病院内に存在するといううわさだった。
それは決して僕のことではなかった。なのに患者たちの最後の願いが、
いつの間にか僕のところに寄せられてくるようになる。
僕はそれらの願いの一つ一つを、奇跡を起こすように叶えていく・・・。
洗練された文体と、サスペンスにあふれた物語の展開。
そして、生きることの意義についても考えさせられる、とても魅力的な作品である。
この若い小説家の力量はたいしたものだと感心した。
★★
中級
053 いちご同盟
(集英社文庫)
三田 誠弘 1997年の芥川賞受賞作家。
高校受験を目前にした15歳の「ぼく」は、同級生の野球部のエース徹也とその恋人で難病で入院中の直美と友達になる。
徹也は恋人のために投げ続け、僕はその姿をビデオに撮って直美に報告する。
そして次第に直美に惹かれていく。
進路、人生、命、友情、愛などの問題が交錯するまっただ中で、傷つきながらも、
少年らしい純粋な心情を失わずに日々を歩み続ける主人公。
この本を読んで、「同じだ!」と、共鳴する中学生が沢山いるのではないだろうか。
★★★
上級
054 私の北壁
(朝日文庫)
今井 通子 マッターホルンの北壁を、世界で最初に「女性だけで」のぼったのは日本人だった!
しかも女子医大の学生である。
1967年、今井通子を隊長とする女性だけの登山パーティーが、史上初めて女性だけで
マッターホルン北壁の登頂に成功し、世界を驚かせた。
その後、著者の今井通子は医者になってからも次々と偉業を成し遂げる。
この本には著者の山に対する情熱と実際の登山の状況が描かれている。
目的に向かって全力を尽くし、見事に成功させる女性の生き方は、読者の人生を大いに励ましてくれるだろう。
★★★
上級
055 アポロ13号奇跡の生還
(新潮文庫)
H・クーパー 「1人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっっては大きな1歩である。」
人類史上はじめて月面を歩いたアポロ11号のアームストロング船長のメッセージは全世界に深い感銘を与えた。
1969年7月のことである。
だが、それ以上にアメリカの科学技術のすごさを示したのが、アポロ13号の生還だった。
地球から30万km離れた零下100度の真空の宇宙空間の中で、酸素タンクや電力供給装置が故障したのだ。
この絶対絶命の状況で、アメリカの管制塔は、あらゆる手段を駆使してロケツトと3人の乗組員に指示を送り
地球に帰還させることに成功するのだ。
その迫真の過程を描いた作品。人間の能力の偉大さに圧倒される。
★★
中級
056 TUGUMI
(新潮文庫)
吉本ばなな 主人公のツグミは町一番の絶世の美少女である。だが、とてつもなく性格の悪い超わがまま娘だ。
それは難病で幼いころからまわりが大切に育てすぎたせいだったかもしれない。
ツグミを取り囲む4人の若者たちの一夏の思い出をみずみずしい感性で描いた魅力的な青春小説である。
情景描写と心情描写は繊細で詩情にあふれていて、まるで印象派の絵を眺めているように心が落ち着く。
読み終わって心が洗われるような爽快感が残った。この作者が世界中の若者に支持されている理由がよくわかった。

初級
057 つめたいよるに
(新潮文庫)
江國 香織 最近の国語教科書に作品がよく載る人気作家の短編集である。
特に幻想的で怪談のような話が魅力的だ。例えば「デューク」。
愛犬が死んで悲しみにくれ、泣きながら電車に乗った若い女性が、電車の中でハンサムな男の子に声をかけられた。
その男の子の正体はなんと!・・・。
若い女性作家らしい繊細な感覚で描写されたさりげない日常生活はとてもイメージが豊かで詩的である。
★★
中級
058 ぼくと1ルピーの神様
(ランダムハウス講談社)
ヴィカス・スワラップ 国語のT先生に薦められて読んだ本である。面白かった!
インドの貧しい少年の「ぼく」は「クイズ$ミリオネラ」のようなテレビ番組で、連続して12問を正解し、
見事に10億ルピー(約30億円)を勝ち取った。
ところが賞金を払いたくないスポンサーは、警察に賄賂(わいろ)を払い、インチキの疑いでぼくを逮捕させた。
もちろんぼくは一切インチキなどやっていない。だが、残酷な拷問(ごうもん)に耐えかねて嘘の自白をしそうになった。
そのとき、見知らぬ弁護士が駆け込んできてぼくを救った。そこから奇跡的でかつ感動的な真実の物語が語られるのだ。
ああ、私もこんな面白い小説を書いてみたいものだ。

初級
059 日本一短い『家族』への手紙
(角川文庫)
福井県丸岡町 「私は自分がとっても好きなんだ。
そんな私に育ててくれて ありがとうお母さん」「(子へ)お前が、山で逝って、仕事が増えました。母さんへやさしい言葉をかけることです。」
「合格発表の時、『車で本読んでる』と言ったお父さん。あの時、本逆さだったよ。」
「母よ、あなたの得意科目は『叱ること』。苦手科目は『ほめること』」
福井県丸岡町が公募した手紙集。短い言葉の中にギッシリと家族への愛や思いやりがつまっている。
知らず知らずのうちに目がうるんでしまう。家族みんなで読みたい本だ。
中学生には早過ぎる31冊
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元校長お勧め100冊
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