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元校長お勧め100冊Recommendation

「読書の旅の羅針盤」では、小金井市小金井第一中学校元校長
「山本 修司」がお勧めする中学生に読んでもらいたい本を100冊紹介します
なお、この紹介は「学校便り」に紹介されたもので、元山本校長の許可を頂き掲載しているものであります。
:短時間で楽しめる本   ★★:じっくりと味わえる本   ★★★:ちょっと難しいが視野が広がり人生観が深まる本
  書籍名 著 者 コメントなど
030 木を植えた男
(絵本)
(あすなろ書房)
ジャン・ジオン原作
フレデリック・バック絵
これは大人が読むべき絵本である。生涯をかけて荒れ果てた山に木を植え続け、
ついには豊かな森林を作り上げた一人の男の人生が描かれている。
その生き方は読者に深い感動を与えるとともに、人はどう生きるべきか
という強いメッセージとなって伝わってくる。まさに中学生が読むのにぴったりの絵本である。
★★ 031 九月の空
(角川文庫)
高橋 三千網 昭和53年の芥川賞受賞作品。中学校から高校にかけて剣道に励む少年の心情を描いた作品である。
15歳の主人公にとって、この世で最も信用できることは剣道をしている最中に感じる緊張感だった。
思春期の純粋な心の揺れをさわやかに歌い上げた青春小説だ。
今、一生懸命部活動にエネルギーを注いでいる中学生ならば、
読んでいて共鳴する場面が沢山あるに違いない。
032 夜のピクニック
(新潮文庫)
恩田 陸 今年の秋に映画化された、人気作家の描くさわやかな青春小説である。
高校生活最大のイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロの道のりを
歩き通すという過酷な伝統行事である。
主人公の女子高生はその一日に3年間だれにも明かさなかった秘密に決着をつけようと決意して
親友と共に歩き出す。そしてささやかな奇跡が起こる・・・。
読み終えた後のすがすがしさ!。
033 1リットルの涙
(幻冬舎文庫)
木藤 亜也 私は読み終えるまでに何度も涙を流した。
それは「かわいそう」という同情の涙ではなく「生きようとすること」への共鳴の涙だった。
優しい家族や友達に囲まれて幸せな生活を送っていた15歳の少女が不治の病に冒された。
時間とともにしだいに動かなくなる体。しかし生きる少女は生きる希望と夢をあきらめない。
「失ったものより残されたものを大切にする」と自分に言い聞かせながら、
悲しみや絶望から必死に立ち上がろうとするのだ。
この本を読むすべて人が生きる勇気を与えられるだろう。
★★ 034 奇跡の人 ヘレン・ケラー自伝
(新潮文庫)
ヘレン・ケラー
小倉 慶朗訳
「奇跡」とは何か。私はこの本を読むまで大きな誤解をしていた。
目も耳も不自由で暗闇と沈黙の住んでいた7歳のヘレンケラーが、ある日突然「言葉」の存在に気づいた。
それが「奇跡」だと思っていたのだ。しかし、それは「奇跡」の人生の幕開けに過ぎなかったのだ。
彼女はその後、水を吸い込むスポンジのようにあらゆる知識を吸収し、
声を出して話すことも可能にし、ドイツ語、フランス語、ラテン語なども堪能になり、
数学や物理の勉強にも励み、ついにはアメリカの最高の難関大学「ハーバード大学」に実力で合格するのである。
努力の足りないすべての中学生諸君、この本を読んで感動すべし!! この努力を見習うべし!!
035 佐賀のがばいばあちゃん
(徳間文庫)
島田 洋七 壮絶な貧乏生活である。何しろ川に流れてきた野菜を拾っておかずにしているぐらいだ。
だが、「お金なんかなくても、気持ち次第で明るく生きられる!」と、ばあちゃんは底抜けに明るい。
家庭の事情で幼くして母と別れた著者は、たくましいばあちゃんや
思いやりのある友達や先生に囲まれてのびのびと育つ。
考え方一つで世の中からすべての不幸が消えてしまいそうな、楽しくてしかも感動的な自伝である。
036 サラダ記念日
(河出文庫)
俵 万智 短歌界に革命を起こした若い女性の恋の歌集である。恋をしている読者は共鳴するだろう。
まだ恋をしらない読者はその日を思い描いてどきどきするだろう。
老いたる読者は若き日の心のときめきをよみがえらせるだろう。
そして。この歌集を読み終えたすべての人が、これまで何気なく通り過ぎてきた日常生活の一瞬一瞬が、
限りなくいとおしく感じられるようになるだろう。
「会うまでの時間たっぷり浴びたくて各駅停車で新宿へ行く」うーん、わかるなあ。
037 谷川 俊太郎詩集
(集英社文庫)
谷川 俊太郎 私は自分を天才詩人だと思っていた。
文学好きな友達と一緒に手作りの雑誌に詩や小説を書いていた高校生のころだ。
青春時代にありがちな大きな錯覚であった。
しかし、谷川俊太郎という本当の天才の作品に出会って、その愚かな誤解はたちまち消滅した。
その日から私は詩を作ることをやめた。どのページでもかまわない。
ぴりりと何かを感じた作品があったら声に出して読んでみよう。
絵画と音楽と思想が溶け合ったような、不思議な文学の世界を味わうことができるだろう。
038 女子中学生の小さな大発見
(新潮文庫)
清 邦彦 大発見!「Hさんの家の犬はリコーダーの高いラの音かシの音で共鳴します。」
「Kさんは氷を浮かべた水にサラダ油を入れてみました。氷と水の境目に
浮いていて『水より軽く油より重い』ことがわかりました。」等々、
中学生たちの自由研究のレポートの要点を簡単に紹介した本である。
ただそれだけなのに、どのページも読んでいてとてもわくわくする。
もし私が中学生のときにこの本に出会っていたら、きっと理科が好きになり、
研究者への道を歩んでいたに違いない。
★★★ 039 細川ガラシャ夫人
(新潮文庫)
三浦 綾子 戦国時代の物語だが、主人公は女性でしかもクリスチャンである。
一般的に豊臣秀吉や織田信長などの英雄が活躍する小説には、
戦いを殺人=悪として否定する視点はほとんどない。その理由は、英雄物語は
人間の歴史を巨視的に描く必要があるからだろう。
しかしそれでよいのだろうか。中学生にとっては、本書のように英雄の視点とは違う目で
人間の歴史を描いた小説を読んでおくことも有意義なのではないかと私は考える。
加えてこの作品では、主人公の父親である明智光秀を知的で立派な人物として描いていることも興味深い。
このような本を読むと日本史の授業がいっそう面白く感じられるのではないか。
中学生には早過ぎる31冊
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