★:短時間で楽しめる本 ★★:じっくりと味わえる本 ★★★:ちょっと難しいが視野が広がり人生観が深まる本 | ||||
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№ | 書籍名 | 著 者 | コメントなど | |
★★ 中級 |
080 | 点と線 (新潮文庫) |
松本 清張 | 日本を代表する推理小説作家と言えばこの人である。 大変苦労をした人で、41歳のときに「西郷札」で直木賞候補になり、44歳のときに「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞した。 本屋にいくと膨大な作品群が本棚にならんでいるが、さしあたって、日本のミステリー入門編としてこの一冊を読んでおくのがいいだろう。 列車時刻表を駆使したトリックの伝説的作品である。 |
★★ 中級 |
081 | アルジャーノンに花束を (早川書房) |
ダニエル・キイス | 幼児の知能しかもたない32歳の主人公が、科学の力によって天才に変身した。 だがそれは、これまで他人を疑うことを知らなかった純粋な魂の主人公が、 邪悪さに満ちた人間社会の真実に気付いてしまうという悲劇の幕開けだった。 「全世界が涙した現代の聖書」と紹介されているが、まさに衝撃的で感動的な小説である。 人間の本当の幸せとは何なのかということを考えずにはいられない作品だ。 |
★★ 中級 |
082 | さぶ (新潮文庫) |
山本 周五郎 | 「さぶ」と「栄二」という江戸下町に生きる若い二人の職人の友情の物語。 盗みのぬれぎぬを着せられた栄二は、復讐を誓いながらも人生を転落していこうとする。 純粋で誠実な人柄のさぶは、親友の無実を信じ、ひたむきに支えようとする。 そして栄二を待ち続けるおすえの純愛。主人公たちに共鳴して読み進めると、最後にあっと驚く真実が明らかにされる。 面白さと感動が両立する小説は世の中にそれほど多くはないが、山本周五郎という作家の作品のほとんどはそれが実現されている。 この作家の作品は大人向けのものが多い中で「さぶ」は中学生にもお薦めできる作品である。 |
★★ 中級 |
083 | 聖(さとし)の青春 (講談社文庫) |
大崎 善生 | 将棋の世界で史上最強の人といえば羽生善治である。 だが、かつて羽生と対等(6勝7敗!)に戦った若い天才棋士がいた。 しかし残念ながら、重い腎臓病で29歳という若さで人生を終えてしまう。 その天才の名は「村山 聖」。 家族や師匠に愛され見守られながら将棋に打ち込んだ壮絶な人生は、恐ろしいほどの気迫に満ちている。 と同時に、私たちに、一つの道に努力することの崇高さを教えてくれる。 マンガ化・ドラマ化・舞台化もされている感動のドキュメントである。 |
★ 初級 |
084 | 精霊(せいれい)の守人(もりびと) (新潮文庫) |
上橋 菜穂子 | 正直言って私は「ファンタジー」が苦手である。 だが、学校図書館の生徒たちの貸し出しカードを見ると、何とファンタジー小説が多いことか。 そこで意を決してこの作品を手にしてみた。 結果は・・・意外に面白かった! 特にこの物語の舞台が、古代の日本を想像させる場所になっているところがいい。 外国ものと違ってイメージがわきやすいからである。 「カードゲームを文字にしたような作品とはモノが違う」と小説家の恩田陸さんが作品の質の高さを保証している。 さもあらんと納得した。 |
★★★ 上級 |
085 | 若き数学者のアメリカ | 藤原 正彦 | 筆者は教育や文化の問題で重要な提言をし続ける数学教授である。 ベストセラー「国家の品格」で有名になる前に、私はさるパーティーの席で親しくお話をさせていただいたことがあった。 講演での発言の過激さとは裏腹に、実にシャイな方であった。 彼は30歳の若さでアメリカのコロラド大学の助教授となった。 本書はそのときの3年間のアメリカの滞在をもとにした体験記である。 アメリカの若者と日本の若者の感性や生活の違いが浮き彫りにされて興味が尽きない。 視野が一気に広がる本である。 |
★★ 中級 |
086 | 青春デンデケデケデケ (河出文庫) |
芦原 すなお | ベンチャーズやビートルズが世界中の若者たちから絶大な人気を得ていた1960年代の物語。 エレキギターに魅せられてバンドを作った高校生たちの情熱と友情を描いた傑作青春小説である。 ユーモアあふれる表現のあちこちに深い人間洞察が感じられる文体は夏目漱石の「我輩は猫である」を連想させる。 若者が気軽に書きつづったような文体を装っているが、実は計算しつくされている。うまい。 ぐいぐい引き込まれてしかも感動を呼ぶ。面白い!読むべし! |
★★ 中級 |
087 | スローカーブをもう一球 (角川文庫) |
山際 淳司 | えば甲子園でのたった一球がその後の人生を大きく支配してしまうことがある。 スポーツとは現代の人間にとってそれほど大きな意味を持っているのだ。 本書は「野球」「バドミントン」「カヌー」「棒高跳び」など様々なスポーツに人生のエネルギーを注ぎ込んだ人々の情熱を ドラマチックに描いたドキュメンタリー集。 どれもが迫力に満ちた物語ばかりである。 生きることとスポーツの関係を、単なる解説ではなく、迫真的なドラマとして描き、読者を圧倒する。そして共鳴させる。 |
★★ 中級 |
088 | プロジェクトX リーダーたちの言葉 (文春文庫) |
今井 彰 | NHKテレビ「プロジェクトX」で紹介されたすごい人々の中から、特に大きなリーダーシップを発揮した人を選んで、 その勇気と情熱にあふれた生き方を紹介した。 先日、本校に招いて3年生がお話を伺った「伝説の消防士」小金井消防署の高野署長もその一人として名を連ねている。 地位やお金や名誉とは関係なく、一つの仕事に全人生をかけて取り組むことの素晴らしさを教えてくれる本だ。 |
★★ 中級 |
089 | 蹴りたい背中 (河出文庫) |
綿矢 りさ | 主人公の女子高生はなぜか周囲の雰囲気に同化することができない。 協調性のなさから、自ら進んで孤独を招いてしまう。そしてその孤立感に耐える日々が続いている。 ところがある日、クラスの中に自分をはるかに超える変人男を発見した・・。 研ぎ澄まされた感性を持つ女子高生の屈折した孤立感の描き方が見事である。 作者は史上最年少の芥川賞作家。17歳のときのデビュー作「インストール」と併せて読んだが、まさに天才の衝撃的な登場だと感じた。 |
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