★:短時間で楽しめる本 ★★:じっくりと味わえる本 ★★★:ちょっと難しいが視野が広がり人生観が深まる本 | ||||
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№ | 書籍名 | 著 者 | コメントなど | |
★ 初級 |
060 | 岳物語 (集英社文庫) |
椎名 誠 | お父と息子はプロレスごっこのライバルだ。超売れっ子作家にして冒険と遊びが大好きな著者の子育て法はまさに豪快かつ痛快である。 プロレスごっこ好きの父親と超元気な息子との日々のふれあいは、ほほえましい。 そのうえ、人間にとって本当に大切なものは何かということを常に忘れない親の姿勢には学ぶところが多い。これも親子で読んでみたい本である。 |
★ 初級 |
061 | 無人島に生きる十六人 (新潮文庫) |
須川 邦彦 | 明治32年、南太平洋の島々の海産資源の調査を目的として、16人の船員を乗せた小さな帆船が大海原に乗り出した。 ところが船は座礁し、海流に流されてハワイ諸島の無人島に漂着した。 飲み水も食べ物も電気も何もない小さな島で、男たちは力を合わせて生き抜く努力をする。 食料にするためのウミガメ牧場をつくったり、人間を恐れないアザラシたちと友達になって遊んだりして楽しく暮らし、 1年後には全員が元気で日本に戻ることができた。 どうしてそんなことが可能だったのだろうか? 奇跡のような実話である。 |
★★ 中級 |
062 | 幸福の食卓 (講談社文庫) |
瀬尾まいこ | 自殺に失敗し「お父さんをやめてしまった」父、家を出て一人暮らしをする母、秀才であることをやめた兄、 崩壊した家族の中で中学2年生の佐和子は健気に生きる。 状況は悲劇的だが、家族間の本当の優しさが心にしみ通ってきて感動する。 昨年の正月に映画化されたが、実は私(山本校長)はその映画にエキストラで出演することになっていた。 朝の学校の昇降口で生徒たちにおはようと声をかける校長役ということだった。 ところが、映画の撮影地が、私の前任校のある多摩市から、山梨県の南アルプス市に変更になってしまい、その話は消えてしまったのだった。 ああ、残念。 |
★★★ 上級 |
063 | ゴリオ爺さん (岩波文庫 全2冊) |
バルザック | イギリスの小説家サマセット・モームは「世界の十大小説(岩波文庫)」の中でバルザックを 「最も偉大であり、天才と呼びたいただ一人の小説家」と誉めたたえている。 私も「知られざる傑作」という短編を読んだとき、バルザックは天才だ!と痛感した。 その天才の作品中、モームが第一に推薦しているのが「ゴリオ爺さん」である。 田舎からパリの街に出てきて立身出世を狙う美貌の青年ラスティニャックは、みすぼらしい安下宿ヴォケェ館に住んでいる。 下宿人の一人、ゴリオ爺さんは、かつては大金持ちだったのだが、 溺愛する二人の娘の幸せのために自分の財産と人生のすべてを投げ打ったのだった。 しかし、その代償としてはあまりにも残酷な結末が彼を待っていた・・・。長い小説だが大変面白く、読み出したらやめられなくなる。 例えば、天下の悪党ヴォートランなど、下宿人たち一人一人のキャラクターが実に魅力的なのだ。 ただし、最初の10頁ほどのパリの情景描写はあまりにもたいくつ。ここは飛ばして読んだ方がいい。 |
★★★ 上級 |
064 | 赤と黒 (新潮文庫 全2冊) |
スタンダール | 「恋愛論」で有名なスタンダールの代表作である。 「赤と黒」は先に述べたモームの「世界の十大小説」の中でも取り上げられている一冊である。 明晰(めいせき)な頭脳と美貌(びぼう)を武器にした青年ジュリアンは、上流社会を上りつめるという野望を抱いてパリにやってきた。 彼にとっては、女性から寄せられる純粋な愛情も、自分の野心を実現するための道具にすぎない。 ジュリアンの野望ははたして実現するのだろうか? この作品もまた「ゴリオ爺さん」と同様とても長いのだが読んでいてまったく飽きさせない。 特にジュリアンと女性たちの間の恋の駆け引きの心理描写は、若者には大いに参考になるのではないか。 しかし小説の結末にはあっと驚かされる。せっかく真剣に読んできたのにそんなドラマチックすぎる結末でよいのか! |
★★★★ 超上級 |
065 | 罪と罰 (新潮文庫 全2冊) |
ドストエフスキー | 才能あふれた青年ラスコーリニコフは、非常に貧しい学生だった。 彼は、自分のようなすぐれた人間は、他人の命を奪っても生きる権利があるはずだという間違った考えに陥り、ついに金貸しの老人を殺してしまう。 しかし・・・。永遠に読み継がれるであろう傑作である。テーマは深く、文章は難しい。 今の中学生でこの本を読破できる者がどれくらいいるか心配だが、現在小金井一中では読書の好きな生徒が沢山いるので、 あえてこの名作に挑戦してほしいと思い紹介した。 |
★ 初級 |
066 | ドッグ・シェルター・・犬と少年たちの再出航・・ (フォア文庫) |
今西 乃子 | 人間に捨てられた犬たちを少年院の子どもたちが世話するプロジェクトがアメリカにある。 元非行少年は言う。「おれはこいつのトレーナーだけど、こいつもまたおれのトレーナーだ。 『責任』と『信頼』っていう、おれの親すら教えてくれなかった言葉を、こいつがおれに教えたんだ。」と。 動物へ無償の愛を注ぐ過程で、人間社会への信頼を取り戻していく少年の感動のノンフィクションである。 |
★★ 中級 |
067 | 杉原千畝物語・・命のビザをありがとう・・ (フォア文庫) |
杉原幸子・杉原弘樹 | スピルバーグ監督の映画で有名な「シンドラーのリスト」で救われたユダヤ人は1200人。 だが同じころに6000人以上のユダヤ人を助けた日本人がいた。それが東ヨーロッパのリトアニアという国の日本領事官だった杉原千畝である。 彼は政府の命令にそむき、食事や睡眠をとらずにビザを発行し続けたのだった。 戦争を振り返り、反省し、平和を祈念するこの8月に、ぜひ読んでおきたい1冊である。 |
★★ 中級 |
068 | 重力ピエロ (新潮文庫) |
伊坂 幸太郎 | 連続放火事件を核とするスリルとサスペンスに満ちたストーリー。読み始めたら一気に最後までいってしまう。 「春が二階から落ちてきた。」という冒頭の文に象徴されるように、軽快な文体で正義感にあふれた主人公たちのさわやかな姿がつづられている。 重く暗い家族の問題が事件の背景に語られるのだが、最後は再び「春が二階から落ちてきた。」ですっきりと終わる。 魅力あふれる青春小説だ。 |
★★ 中級 |
069 | あすなろ物語 (新潮文庫) |
井上 靖 | 「あすなろ」とは木の名前である。「明日はひのきになろうと永遠に願い続ける」という悲しい意味がある。 青春小説にぴったりの題名ではないか。 この作家は「風林火山」「天平の甍(いらか)」などの多くの歴史小説を書く一方で、「しろばんば」などの自伝的小説も多く残した。 本書は伊豆を舞台にした幼年時代から社会人になるまでの六つの作品からなる自伝的短編集である。 だが、主人公よりもむしろ、登場する6人の個性豊かな女性像の方が魅力にあふれていると私は思った。 |
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