★:短時間で楽しめる本 ★★:じっくりと味わえる本 ★★★:ちょっと難しいが視野が広がり人生観が深まる本 | ||||
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№ | 書籍名 | 著 者 | コメントなど | |
★★ | 040 | 隠し剣秋風抄 (文春文庫) |
藤沢 周平 | 私は藤沢周平のファンである。とにかく登場する主人公がみな清廉で、 その潔い生き方がたまらなく美しいのだ。 簡潔な自然描写もまたイメージが鮮やかで、まるで一篇の詩を読んでいるような気になる。 私はこの作家の描く江戸時代が大好きだ。だから作品集をわざとゆっくり読み進めている。 それなのに、すでに半分以上の作品を読み終えてしまった。ああ、もったいない。 さて、本書は木村拓哉主演の映画「武士の一分」の原作を含む短編集である。 私は映画をまだ見ていないのだが、本だけでもあんなに感動したのだから、 映画を見たら絶対に涙ぼろぼろに違いない。 中学生のうちに藤沢周平の作品を読んで、江戸時代の生活や感性に触れておくことは有意義だと思う。 ただし昔の言葉が沢山出てくるので、辞典をそばに置いておくのを忘れずに。 |
★★ | 041 | ボクの音楽武者修行 (新潮文庫) |
小沢 征爾 | 指揮者って簡単そうだ。棒を振っているだけだもの。 子どものころにそんなことを考えたことがあった。それは大きな誤解だった。 指揮者とは、すべての楽器のすべての音を正確に把握する。 とてつもない能力を必要とする仕事なのであった。 大学で音楽を学んだ著者は24歳のときに単身欧米に武者修行に出かけた。 そして国際指揮者コンクールで次々に優勝し、世界のひのき舞台で活躍するようになるのだ。 わくわくするような天才の栄光の青春物語である。 |
★ | 042 | ショートショートの広場(1~) (講談社文庫) |
星 新一監修 | 小説の楽しみは読むことばかりではない。自分で書くという楽しみもある。 この本は、ショートショートの神様である星新一が、一般人の作品から優秀作を選んで編集した本である。 奇想天外な発想とあっと驚く結末の作品ばかりで、読み始めると時間のたつのを忘れてしまう。 そして読んでいるうちに、自分でも書けそうな気がしてくるから不思議だ。 勉強の気分転換にこの本を読んで、たまにはショートショートを 書いてみるのも面白いのではないか。 |
★★ | 043 | 落語百選(春~冬)全4巻 (ちくま文庫) |
麻生 芳伸編 | 日本はジョークの先進国である。例えば落語という日本の民衆の誇るべき文化がある。 この本は「まんじゅう怖い」「長屋の花見」などの落語の名作・傑作をずらりと並べた台本集である。 名人たちの語り口が聞こえてくるようである。庶民の生活を温かい視線でユーモラスに 描く精神を伝承していくためにも、私たちは、もっと落語を見たり聞いたりしておくことが 必要なのではないか。そう思って私は1年に1度は寄席に行く。 最近では笑福亭鶴瓶の新作落語がとてつもなく面白かった。 |
★★ | 044 | 日本の技術(ワザ)は世界一 (新潮文庫) |
毎日新聞経済部 | 日本には、世界一品質が良いと評価されている製品が沢山ある。 この本は、そのような世界一の日本のワザの中から100種類を選んで紹介したものである。 例を挙げると「眼鏡レンズ(HOYA)」「ヘルメット(アライ)」「カッターナイフ(オルファ)」 「プラネタリウム(五藤光学)」「電子ピアノ(ローランド)」「小型モーター(マブチ)」「フルート(村松)」等々。 日本人の技術力の優秀さに驚くとともに、世界の人々の生活を豊かに することへ貢献しているという国への誇りを改めて感じさせる本である。 |
★★★ | 045 | こころ (角川文庫他) |
夏目 漱石 | 夏目漱石が、初めて小説「吾輩は猫である」を発表したのは38歳のときだった。 以来49歳でなくなるまでに多くの傑作・名作を残した。 私は高校生のときに漱石の全作品を読もうとしたのだが、「坊ちゃん」と「こころ」の2冊以外は 歯が立たなかった。しかし、自分が漱石が執筆したころの年齢になったときに再挑戦し、全作品を読破した。 そのときの達成感は大きく、人生観が深まったような気がした。 「こころ」は友人を裏切って死に追いやった男の苦悩を掘り下げ、人間のエゴイズムを追求した作品である。 文豪夏目漱石の入門編として、若いうちにはぜひ一度は読んでおきたい。 |
★★ | 046 | 高瀬舟・寒山拾得 (角川文庫他) |
森 鴎外 | 漱石と並ぶ日本の文豪といえば森鴎外である。弟殺しの罪で島流しにされようとする男が なぜ幸福そうな態度でいるのか、その理由を追求した「高瀬舟」。 二人のお坊さんの俗世間を超越した姿を描いた「寒山拾得」。 いずれの小説も、私たちが日ごろ何気なく心に抱いている幸福感が 突然撃ち壊されたような不思議な読後感が残る。 |
★★ | 047 | 藪の中・地獄変 (新潮文庫他) |
芥川 龍之介 | 芥川龍之介の作品はどれも短い。しかしいずれも深いメッセージが込められている。 そしてそのメッセージは読者の心に刻み込まれ、人生の様々な場面でふっと浮かんでくる。 私は学校に上がる前に絵本で「蜘蛛の糸」を読んだときのショックをまだ忘れてはいない。 そのとき学んだ「利己主義は自分を破滅させる」という教訓は何十年たっても生き続けているのである。 そのような芥川の作品の中でも特に「藪(やぶ)の中」「地獄変」の2編は、衝撃度が非常に大きい。 |
★★★ | 048 | 芽むしり仔撃ち (新潮文庫) |
大江 健三郎 | 大江健三郎はノーベル賞作家である。 しかし文章は難解で、テーマも大人向きのものが多い。 中学生が読むのにちょうど良い作品を選ぶのが難しいのだが、ここではこの1冊を紹介する。 少年院の子どもたちが戦争中に山村に疎開させられる。 ところが、その村で恐ろしい伝染病が発生すると村人たちは少年たちを置き去りにして逃げ去ってしまう。 生き延びるために少年たちがとった行動とは? 非情な大人たちと必死で戦う少年たちの物語が興味深い。 だが、それ以上に読者は、村の情景や子どもたちの心情を細やかに表現する 文学の香り高い文体に圧倒されるのではないだろうか。 |
★★ | 049 | 潮騒 (新潮文庫) |
三島 由紀夫 | これほど純粋無垢(むく)な青春文学がほかにあるだろうか。 太平洋を望む「歌島」の若い漁師の信治と海女(あま)の初江の二人の理想的な恋の物語は映画にもなった。 かつての中3の国語の教科書には、有名な「その火を飛び越してこい」という場面が載っていた。 生徒は国語の授業で感動の愛のシーンを味わったのである。若者必読の永遠の名作と言って良いだろう。 この冬休みに三重県にあるこの島のそばをフェリーで通ったとき、 私はなぜか懐かしい気持ちでいっぱいになったものだ。 |
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