子育ての本

ここ「読書の旅の羅針盤」では、小金井市小金井第一中学校校長
「山本 修司」がお勧めする
「子育ての本」を紹介いたします。

なお、この紹介は「学校便り」に紹介されているもので、
山本校長の許可を頂き掲載しているものであります。



ナンバー 書籍名 著 者 コメントなど
 2008年7月16日分
001 子どもが育つ魔法の言葉
(PHP文庫)
ドロシー・ロー・ノルト   世界中の親に感動と共鳴をもたらした子育ての本。
「けなされて育つと、子どもは人をけなすようになる。
褒めてあげれば、子どもは明るい子に育つ。」等の言葉でつづられた「子は親の鏡」と題する詩は、
皇太子殿下がテレビカメラの前で朗読されたほど知られている。
それらの言葉の一つ一つの内容をエピソードを添えて解説 したのが本書であり、心打たれる。
002 子どもが育つ魔法の言葉 for the Heat
(PHP文庫)
ドロシー・ロー・ノルト  1の続編。同様に対象は小さい子どもではあるが含蓄に富む本である。
「あるがままのその子を受け入れ、慈しみ、褒める。それが子どもを愛すること」など、
子育ての原点に振り返って、我が子との対応の在り方を見直すことができる。
003 10代の子どもが育つ魔法の言葉
(PHP文庫)
ドロシー・ロー・ノルト
 苦難や挫折を繰り返しながら大人になっていく思春期の子どもにどう向き合うか。
親の過剰な期待がプレッシャーとなったり、ルールの押しつけが反発を招いたりというような、
どこの家庭でも起こり得る危機的な状況の一つ一つに賢い親の解決方法が示されている。
ドロシー・ロー・ノルト博士はアメリカ人なので、酒やタバコ に寛大すぎるところがあるが、
子育ての知恵は世界共通である。大いに参考になる。
004 父親学入門
(集英社文庫)
三田 誠弘
 「僕って何」で芥川賞を受賞した著者が、二人の息子を育てた経験から、父親としてのあるべき姿を論じた本である。
「甘い物をいくらでも食べてもいい、という育てられ方をしている子供に比べれば、オヤツがアメ玉一つだけ、
という子供は、はたから見れば不幸なようだが、そのアメ玉一つを食べるときの、
幸福そうな様子をそばで見ていれば、かえって、食べたいだけ食べられる子供の方が不幸に見えてくる。」
「抑制の中に解放の瞬間があった時に、喜びがうまれる。喜びを体験した子供は、規制に耐え、規制を乗り越えることに、
喜びを覚えるようになる。生きる喜びというのは、そういうことだ。」と著者は主張し、父親の役割の重要性を説く。
その人生哲学に賛成。
005 いまどきの教育を考えるヒント
(講談社文庫)
清水 義範
 ユーモアあふれた作品群で知られる著者は、実は教育にも深い関心をもっている。
本書で著者は、「ゆとり教育の問題点」を鋭く指摘し、「階層社会へ向かう日本の未来」を危惧し、
「自分の価値観を子供に押しつけようとする親たち」に警鐘を鳴らす。
いずれも広い視野と深い思索から発せられるものであり、
まさに現代日本の 啓発の書といってよいのではないか。
006 目からウロコの教育を考えるヒント
(講談社文庫)
清水 義範
 5の続編。著者は、消費文明にどっぷりとつかってしまった現代日本人の問題点は、
「ものを所有することにしか幸せ感を持てなくなってしまっていること」にあると言い、
「物があふれかえった社会の中で、皮肉にも精神的には飢餓状態にあるのだ。
エリートでもなく、有名人でもない自分の人生で、何を誇りに生きていけばい いのかの答がないのだ。」と指摘する。
その反映として、子供たちもまた明るい未来を描けないでいると言う。
うーん。そうであるならば今こそ、親としてしっかりした人生観を我が子に伝えていくことが重要だと思う。
007 岳物語
(集英社文庫)
椎名 誠
 「生徒に勧める100冊」の中の1冊でもある。が、実は子育ての本として読んでも非常に興味深い。
いわゆる「勉強して、いい学校に入って、エリートになっていく」という、ごくありきたりの価値観とはまったく無縁の、
シーナ式人生観による子育て物語である。「破天荒、非常識だ」と反発するか、
「素晴らしい、のびのび した子育てだ」と賛同するか、読者の意見は二つに分かれそうだ。
私はどちらかといえば賛成派である。
 2008年10月21日分
008 ビタミンF
(新潮文庫)
重松 清
 中学生の子供を持つ親の微妙な心情を描いた短編集。
いじめ、非行などにかかわって揺れ動くのは子供たちだけではない。
そのような我が子の心の揺れを思いやるその親たちの心の中にもまた激しい嵐が吹き荒れるのだ。
自分の気持ちをコントロールし、激しい感情を胸の中にしまっておくことができる大人だからこそ、
苦悩はい っそう深いともいえる。
作者はそのような微妙な親の心情を鮮やかに描いてみせる。
私は特に「セッちゃん」に描かれた親子のそれぞれの感情抑制の姿に衝撃を受ける思いがした。
主人公たちの子育てに伴う苦悩に共感しつつ、賢い対応の仕方に学ぶこともできる。
小説であると同時に子育ての参考書でもある。
009 学校に出来ること出来ないこと
(PHP文庫)
外山 滋比古
 「学校に出来ないこと」とはすなわち「家庭で行うべきこと」のことである。
筆者は「知識を教えるのも教育だが、家庭のしつけも立派な教育」
「子どもを人間らしく育てることこそ教育であって、それは家庭の力によるところがきわめて大きい。」
「教育するところを学校と呼ぶのなら家庭は立派な学校である」等々、家庭教育 の大切さを説く。
広く深い視野から、賢い親の在り方を示唆してくれる。「良識」のかたまりのような本だ。
 2008年11月11日分
010 中学生日記
(講談社文庫)
山田 正弘
 もともと中学生向きの本なのだろうが、むしろ親が読んだ方がいいと思う。
名門高校に合格させるために中学生の息子を叱咤激励し、1分単位でスケジュール管理をする超教育ママ。
息子のダメな成績に業を煮やして、ついには家庭教師を教科別に4人もつけてしまった。
そんなママゴンの期待に応えて、主人公の少年は勉強以外のことには一切関心を持とうとしない。
 ひたむきな母子像は愚かしくまたおかしい。これほど極端な人たちはまさか現実には存在しないだろうと思う。
いやそれに近い人なら案外いるかもしれない。
いやいや、そういえば昔これにそっくりな親子を担任したことがあったなあ。うーん、もしかしたら本校にも・・。
 同級生の女の子の死をきっかけに、少年が精神的に自立しようとする場面には感動して涙が出た。
受験生を持つ親の反面教師として参考になる作品である。
011 福翁自伝
(岩波文庫)
福沢 諭吉
「自分のような立派な人間になれ」と自信をもって我が子に言い切れる親というのは少ないと思う。
ならば、歴史上の偉大な人物を子供に紹介してやれば良いのではないか。
 福沢諭吉は「封建制度は親の敵でござる」と言って、教育による国家作りを唱え、実践した偉人である。
この慧眼(けいがん)の士がいなかったら、日本の近代化はもっと遅れていたことだろう。
人間として学問に励むことの意義は、個人の幸せばかりを追求するのではなく、人類全体を賢くし、
すべての人々が幸せに過ごす世界を作ることにあるということを教えてくれる本である。
子供にどういう人生を送ってほしいかという子育ての根本に関わることで大きなヒントを与えられる本であると思う。
福沢諭吉ファンの私は、今年の夏休みに、大分県の記念館を訪ねて、この偉大な教育者の面影を偲んできた。
大分県の教育界の不祥事を諭吉が知ったら、郷土の教育界の腐敗ぶりに激怒するだろうなあなどと考えながら。
 2008年12月12日分
012 親ができるのはほんの少しばかりのこと
(新潮文庫)
山田 太一
 脚本家、映画監督の筆者が語る子育て論が、しみじみと伝わってきて実に味わい深い。
「親が理想型の基準を持たなければ、それぞれの子どもが持っている豊かなものに気付くことができる」
「心の傷も栄養になるのだから、いじめやケンカなどは原則として親は目をつぶって知らん顔をしている方がいい」
「親が小さなことで幸福を感じることができたら、子どもにも良い影響を与える」等々、
「その通りだなあ」と共鳴せずにはいられない珠玉の言葉がぎっしりと詰まっている本である。
それらはまさに子育ての「知識」ではなく「英知」だと言えよう。
013 学歴無用論
(朝日文庫)
盛田 昭夫
 敗戦後「ソニー」を設立し、大企業に育て上げた盛田氏が、
国際的な視野から日本式の会社経営の欠点を鋭く批評した本。
「『学問』は大切だが『学歴』は不要だ」という信念が明解に主張されていて説得力がある。
「ひとたび我が社に入社した以上は、それ以前の学歴はいっさい考えず、いかなる場合にも公表したり、
参考にしたりせず、中卒であろうと、高卒、大卒であろうと、一人一人にその知識・才能を自由に発揮してもらって、
それを偏見なく評価する」という理想論を実行し、その方針に基づいて「ソニー」を発展させたのだからすごい人だ。
だが盛田氏の主張する「実力主義」というのは、実は一人一人に生涯にわたる自己研鑽を要求することである。
だからこの本を読んでいると、もっともっと自分の知識・才能を発揮するために努力せねばならないと反省させられる。
そういう意味ではとても厳しい本である。
 2009年01月22日分
014 子どもにいい親 悪い親
(PHP文庫)
田中 澄江
 劇作家、小説家である著者が、教師や教育委員等の経験を元にしながら、
新聞で報道された現代の様々な事件を題材に子育て論を展開した本である。
学校教育や家庭のしつけに関して、幅広く問題点を指摘し、あるべき姿を論じている。
「一流校に入ることより大事なこと」「逃げない先生が生徒を救う」「子どもは親の背中を見ている」
「夫婦が仲良くいたわり合うこと」「子どもの長所を見つけ励まそう」などと見出しを並べると分かるように、
その指摘はきわめて良識的で納得できる。
015 家族の標本
(角川文庫)
柳 美里
 家族にかかわる65の断片的な情景が描かれている。
それらのほとんどのエピソードの背景には、複雑なドラマが存在し、人間関係もまた憎しみや裏切りや挫折などにあふれている。
読んでいるうちに気持ちがふさがってくるほどだ。ではなぜ、私がこのような本を紹介するのか? 
それは子育ての「反面教師」になると思われるからだ。
「自分には関係のない世界の話だ」と思いながら読んでいるうちに、かすかに思い当たる節があると感じさせ、
そして「このような状況に陥らないためには、親子や夫婦の気持ちのつながりを大切にしければならないなあ」
と考えさせることが期待できるのである。
 2009年02月19日分
016 子どもを幸福にする愛 辛くする愛
(青春文庫)
加藤 諦三  「うるせえ、くそばばあ」と子どもに言われたらどう答えたらいいか。
子どもに勉強する気を起こさせるにはどうするか。
子どもへの本当の愛の姿とは、言葉とはどういうものか・・。
幼児から子育ての原則とも言うべき親の姿勢をこんこんとわかりやすく説く。
私はこれを読んで「うーむ、自分は親として失格だなあ。」と深く反省した。
ベテラン心理学者による納得のいく子育ての教科書である。
017 ぼくんち熱血母主家庭
(角川文庫)
下田 治美
 なまけ者の夫を追い出し、一人で子どもを育てる決心をした熱血母さんの子育て奮戦記。
小学生の息子は、そんな母を「はるさん」と呼び、たくましく育っていく。
対等に議論をし、一人前に家事をさせ、ファミコンを禁止し、いじめ問題には全力で立ち向かって
解決していく母さんのパワーはすごい。
だが私は。破天荒に見える子育ての底に、社会に出ても立派に通用する自立心や責任感を
しっかりと育んでいこうとする確固とした理念が存在していることに感銘を受けた。
 2009年03月18日分
018 子どもの能力を伸ばす親・ダメにする親
(PHP文庫)
斉藤 茂太
 斉藤さんのお父さんは歌人の斉藤茂吉。弟さんは小説家の北杜夫。
そしてご本人は3代目の精神科の医者である。
精神科の医者としての専門的な知識と、4人の子どもを育て上げた体験から発せられる子育て論は説得力がある。
「カミナリ親父の存在が、家庭の雰囲気を引き締める」「先生の悪口を言うと子どもは勉強しなくな る」
「ときには自分の失敗を子どもに話そう」「希望をかなえるだけではなく欲求不満も味わわせる」
「反抗期には生身でどんどんぶつかりあうこと」「親子の断絶をなくすには共通の趣味を持とう」等々、
目次を並べただけでも思い当たることばかりである。
019 イチローを育てた鈴木家の謎(集英社文庫) 斉藤 茂太
 野球は、現在WBCの真っ最中。日本の連覇を大いに期待したいところだ。
そんな中、スーパースターのイチローはいつでもどこでもひときわ目立っている。
子育て論の大家である斉藤さんが、イチロー選手のお父さんと対談し、子育ての仕方のうまさに共鳴した。
そこから引き出された子育ての理論を、わかりやすく述べた本 である。
上の本と重なる部分が多いが、イチロー選手が事例としてあげられているので一層わかりやすくて説得力を増している。