読書の旅の羅針盤

ここ「読書の旅の羅針盤」では、小金井市小金井第一中学校校長
「山本 修司」がお勧めする中学生に
読んでもらいたい本を100冊紹介する予定です。

なお、この紹介は「学校便り」に紹介されているもので、
山本校長の許可を頂き掲載しているものであります。



ナンバー 書籍名 著 者 コメントなど
:短時間で楽しめる本   ★★:じっくりと味わえる本   ★★★:ちょっと難しいが視野が広がり人生観が深まる本
 2008年10月21日分
028 アイヌの碑(いしぶみ)
(朝日文庫)
萱野 茂
★★★(上級)
 「日本人は単一民族だ」という政治家の発言が、
無知と偏見の表れだとしてマスコミをにぎわすことがある。
だが、そのような発言を批判する一般民衆の私たち自身が、
どこまで問題の本質を理解しているのかは、いささかこころもとない。
本書は、アイヌ民族としての誇りを失わずに、多くの苦難と闘いながら、
生涯をかけてアイヌ文化の保存と伝承に力を尽くした萱野さんの感動的な自伝である。
文章はわかりやすく中学生も十分に読める。日本の歴史の真実の一端を理解するための貴重な一冊である。
現代日本人必読の書と言ってもよいかもしれない。
029 オリンポスの果実
(新潮文庫)
田中 英光
★★★(上級)
 古今東西、様々な恋愛小説が書かれてきた。
その中でもわが国の「源氏物語」は
人類史上最高の傑作と言われている(私が言っているのであるが)。
しかしこれはあまりにも高尚かつ深遠なので今は推薦しない。
そこで、現在テレビやケータイなどにあふれているドラマでは
軽くて物足りないという読書家の中学生のために、本書を推薦する。
 主人公の「ぼく」はロサンゼルスオリンピックのボートの選手に選ばれた大学生である。
盛大な見送りを受けて選手団を乗せた船はアメリカに向けて出航した。
その船上で「ぼく」は一人の陸上競技の女子選手に恋をした。その結末は? 
今の中学生のひいおじいさんの世代の恋愛小説である。
だが、主人公の感性はみずみずしく 、現代の若者と変わらない。
その純粋な魂と行動に共鳴する人も多いことだろう。
36歳で太宰治の墓前で死を選んだ作者の永遠の青春小説である。
030 たった一人の生還
(新潮文庫)
佐野 三治
★★(中級)
 ヨットレースの途中、太平洋上で1艇のヨットが転覆した。
7人のヨットマン中6人がかろうじて救命ボートに飛び乗ることができた。
しかし、小さな救命ボートにはわずかな水とビスケットしかなかった。
一日に1枚のビスケットを6等分して食べながら、救出を求めて漂流する生活が続く。
しかし自分の小便を飲んで水分を補 給するという極限状況の中で、一人ずつ仲間は死んでいく。
そして27日後、たった一人生き残った佐野さんは、やせ細った姿で外国船に発見される。
絶望的な状況の中で生き抜こうとする佐野さんの姿に心を打たれるとともに、命の大切さを痛感させられる。