読書の旅の羅針盤

ここ「読書の旅の羅針盤」では、小金井市小金井第一中学校校長
「山本 修司」がお勧めする中学生に
読んでもらいたい本を100冊紹介する予定です。

なお、この紹介は「学校便り」に紹介されているもので、
山本校長の許可を頂き掲載しているものであります。



ナンバー 書籍名 著 者 コメントなど
:短時間で楽しめる本   ★★:じっくりと味わえる本   ★★★:ちょっと難しいが視野が広がり人生観が深まる本
 2008年4月15日分
006 邪馬台国はどこですか?
(創元推理文庫)
鯨 統一郎
★(初級)
 とある小さなバー。しゃれたカクテルと極上のつまみを前に、
「お釈迦様は本当は悟りを開いてはいなかった?」「邪馬台国のあった場所は九州や近畿地方ではない?」
「聖徳太子は女性だった?」「十字架にはりつけになった人間はイエスではなかった?」などなど、
私たちが歴史の授業で習った常識をことごとく覆(くつがえ)すような、おバカな歴史問答が繰り広げられる。
だが、名探偵ホームズより鋭い頭脳の持ち主、宮田六郎が推理する歴史には大きな説得力を感じるのだ。
歴史が好きになること請け合いの本。
007 キッチン
(福武文庫)
吉本ばなな
★★(中級)
 祖母を失って悲しみのどん底に陥っている女の子。
そんなときイケメンの青年が現れて優しく励ましてくれる。
そしてそれ以上に細やかに愛情を降り注いでくれたのが彼の美しいお母さんだ。
ところが何と彼女は男だった。ありえない。なのにあったら面白いなあという読者の期待通りに物語が展開していく。
そして心情描写があまりにもこまやかなので、読者はつい主人公の感情に共鳴してしまう。読み始めたら止まらない。
「蹴りたい背中」の綿矢りさといい、吉本ばななといい、いまどきの若い女性作家の才能はすごいなあと感心した。
両人とも文章は太宰治(走れメロスの作者。玉川上水に飛び込んで心中した。)の影響を受けているらしい。
うーん。やっぱり太宰治は偉大な作家なのだろう。
008 雨鱒(あめます)の川
(集英社文庫)
川上健一
★★(中級)
 主人公は小学校2年生の男の子と女の子。少年は勉強はさっぱりできない。
だが絵を描くことと魚を捕ることにかけては天才的だ。少女は耳が不自由で他人とうまく会話ができない。
だがとても心の優しい子どもだ。そんな二人を周りの人は「馬鹿っ子」とあざけり笑う。
しかし二人は深く心を通わせていた。そして10年後、少女は美しい娘になり、少年もまた純朴で芯の強い若者に成長した。
だが大人の思惑で二人の仲は無慈悲に裂かれそうになる。果たして二人の美しい純愛は成就(じょうじゅ)するのだろうか。
心の奥深いところにずしーんと響いてくる感動的な作品である。
最後の10ページは涙なくしては読めないので、ぜひハンカチかタオルを手元に用意しよう。
009 憧れのまほうつかい
(新潮文庫)
さくらももこ
★(初級)
 「おどる12人のおひめさま」という絵本を覚えているだろうか。
作者は、イギリスの画家ル・カイン。非常に繊細で美しい絵本である。
私も娘が小さいときに毎日のように読んでやったものだ。
さくらももこは、高校2年生のときに本屋でこの絵本に出会った。
そしてその絵のあまりの美しさに感動して、一目でこの本に恋をしてしまった。
やがて大人になった彼女は、亡くなったル・カインの魂に触れるためにロンドンへ旅立つ。
本書はそれらのいきさつと旅行の様子が語られている楽しい本だ。
なんといっても、ル・カインの美しい絵がふんだんに載っているのがうれしい。
ある日私は、長野県の清里高原にある「えほんミュージアム」まで車を走らせた。
そこにはル・カインの原画が沢山展示されていて大いに満足したのだった。
010 白い手
(集英社文庫)
椎名 誠
★(初級)
 教室ですぐにうんこをもらす転入生の松井少年と一緒の帰り道、ある家の二階の窓から白い手が出ているのが見えた。
それは、病気で寝たきりの女の子の手だと言う。すると松井少年は、顔も見たことのない女の子を励ますために、
その家の前を通るたびにハーモニカを吹くようになった。
それはとても気恥ずかしいことであり、そしてまた感心すべき行動だった・・・。
いたずら坊主のシーナ少年の小学校時代の友情と冒険の物語である。