読書の旅の羅針盤

ここ「読書の旅の羅針盤」では、小金井市小金井第一中学校校長
「山本 修司」がお勧めする中学生に
読んでもらいたい本を101冊紹介しています。

なお、この紹介は「学校便り」に紹介されているもので、
山本校長の許可を頂き掲載しているものであります。



ナンバー 書籍名 著 者 コメントなど
:短時間で楽しめる本   ★★:じっくりと味わえる本   ★★★:ちょっと難しいが視野が広がり人生観が深まる本
 2006年4月7日分
001 天国に一番近い島 森村 桂
もりむら かつら

子どもの時にお父さんから聞いてあこがれていた「天国に一番近い島」。
若い女性が、ついに夢を実現して、その島に一人で旅立ちます。
心の洗われる体験記。
002 深夜特急1〜6 沢木 耕太郎
さわき こうたろう

★★★
26歳の青年がインドのデリーからバスを乗り継いでロンドンまで旅をします。
青年が見たこと、考えたことは・・・。
日本人としてではんく地球ひととしてどう生きるかを考えさせる本です。
003 ゆらゆらとユーコン 野田 知佑
のだ ともすけ

カヌーに生活道具を積んで、日本やカナダの川下をして暮らす。
作者の野田さんは夢のようなすてきな人生をおくっています。
私は、若いころにこの人の本を読んでカヌーに憧れ、
ついに自分で作って北海道の釧路川まで行ってしまったのでした。
004 どくとるマンボウ航海記 北 杜夫
きた もりお

★★
どうしても外国に行きたかった精神科の若い医師が
漁業調査船の船医となって5か月間世界を旅するユーモアあふれた航海記です。
少年時代の私はこれを読んで、外国旅行に熱烈にあこがれたものでした。
 2006年5月8日分
005 エイジ
(長編・新潮文庫)
重松 清
しげまつ きよし

★★
中学生2年生のエイジは膝の故障でバスケット部を休部中。
片思いの女の子から紹介された下級生との不本意なつきあい。
何の不満のないはずの家族への反発。
そんな生活の中で通り魔事件を起こした同級生の心情が次第に
理解できるような気がしてくる・・・。思春期の純粋にして屈折する心情描写に
だれもが共鳴し感動することだろう。私は2回読んで2回とも涙が止まらなかった。
青春文学の傑作である。
006 そこに僕はいた
(短編集・新潮文庫)
辻 仁成
つじ ひとなり

同情をきっぱりと拒む義足のあーちゃん。家族のために新聞配達をする少年。
かれらの毅然とした態度に人間としての誇りを感じる僕。
ホームルームで書かされた「Xの手紙」に心を傷つけられた自分を励ます謎の同級生・・・。
小学校から高校までの思い出話からにじみ出てくる人生の真実に
感動せずにはいられない。
中でも私が一番好きなのは「ゴワスが行く」。抱腹絶倒の短編である。
007 F 落第生
(短歌集・角川文庫)
鷺沢 萌
さぎさわ めぐむ

「F」とは成績で「不合格」を表す。この短歌集に登場する主人公は、みな人生の
成績が「F」である。だけど人生は「F」だっていいのだと作者は言う。
失敗した過去を振り返り、後悔しながら、一歩ずつ前進できればいいと。
この本は「落第」してしまった女の子に贈る。思いやりに満ちた応援歌である。
特に「シコちゃんの夏休み」の主人公のシコちゃんの生き方から、
私は沢山の元気をもらったような気がした。
008 博士の愛した数式
(長編・新潮文庫)
小川 洋子
おがわ ようこ

★★
主な登場人物はたった3人。大きな事件が起こるわけでもない。
しかし、主人公の博士の口から出る一言一言の奥深い意味と温かさのもつ
圧倒的な引力に引っ張られて一気に読み終えてしまう。
そして数式の美しさを知って感動する。
これを読んだ人はその日から数学が好きになるに違いない。
 2006年6月7日分
009 青春を山にかけて 植村 直己
うえむら なおみ

★★
世界五大陸の最高峰を単独で登ったり、北極圏を犬ぞりで旅したり、
アマゾン川をいかだで下ってワニやピラニアに食われそうになったり・・・。
単独で冒険を続ける植村さんは孤高の人であった。
最後はアラスカのマッキンリーで消息を絶った。
永遠のヒーローの魂に触れることができる本である。
010 落ちこぼれてエベレスト 野口 健
のぐち けん

勉強で落ちこぼれの少年だった作者は、上の「青春を山にかけて」に出会って
人生の目標ができたのだった。そしてついに世界最年少で7大陸の最高峰に立つ。
すごいのはその後の彼の生き方である。エベレストで日本の登山家の捨てたゴミの山を見て
衝撃を受けた筆者は今、富士山やエベレストのゴミを山から運び降ろすという壮大な
仕事に取り組んでいるのだ。素晴らしい日本人がいるものである。
011 五体不満足
(講談社文庫)
乙武 洋
おとたけ ひろただ

私は、良書とは「人生観を深化させる力のある本」と規定している。
そういう意味ではこの本は中学生必読であると思う。
人生とは何か、人間とは何か、差別とは何か等々、私たちが日ごろ思い悩んでいることの
一つの答えが明快に示されている。感動のうちに読み終えて人生の風景が変わる。すごい本だ。
012 バッテリー1〜
(角川文庫)
あさの あつこ
あだち充の名作マンガ「H2」を小説にしたらこうなるのだろうか。
並外れた能力をもつ野球少年と彼を囲む家族や純情な友人たちの姿が実に温かく描かれている。
主人公が様々な葛藤に包まれながら成長していく姿に若い読者は心から共鳴するだろう。
とにかく楽しく読める作品である。
 2006年7月10日分
013 モーパッサン短編選
(岩波文庫 赤 600円)
★★ トルストイも夏目漱石もモーパッサンを好きでないと言った。なぜか?
悲劇の中の希望を書いたオー・ヘンリーとは違い、
モーパッサンは好んで絶望を描いたからだろうと私は思う。
しかし冷静に眺めれば人生の真実をついているのは
モーパッサンの方である。魅惑の短編集。
014 だからあなたも生き抜いて
(講談社文庫 552円)
大平 光代 
壮絶ないじめにあっているのに親も先生も助けてくれない。
絶望の末に河原で自分のお腹にナイフを突き立て自殺未遂。
その後非行の限りを尽くし背中に入れ墨までした著者は、
ある日人生に目覚めて猛勉強を始め、ついに司法試験に合格する。
生きる勇気を与えられる本である。
015 やった。
(ミキハウス 1700円)
坂本 達 
4年以上も自転車で世界を見て回った著者は「どんな厳しい環境の中でも
言いわけもせず、ピュアな心を持ち続ける人がいる。
そんな人たちと出会うたび、人は人として強く生きていかなくては
ならないことを教えられる。」と語る。
小金井一中の先輩の味わった感動を追体験しよう。
016 翼はいつまでも
(集英社文庫 619円)
川上 健一 
★★
主人公はごく平凡な中三の男子生徒だ。深夜放送から流れてきた
外国の音楽を聴いた日から人間が変わった。
不思議な自信がわいてきて堂々と自己主張ができるようになった。
野球部ではレギュラーになった。鬼教師へも逆らえた。
その音楽とはビートルズ・・・。
孤独な転入生の女の子との出会いと純粋な恋に感動の涙が
止まらなくなるだろう。この夏休み必読の本だ!!
 2006年9月8日分
017 4千万歩の男
(講談社文庫 全5巻)
井上 ひさし 
★★
 50歳から天文学を学び始めた伊能忠敬は、中身の濃い人生を2回生きたといえよう。
自分の夢をあきらめずに実現した情熱とその努力は驚異的である。
この作品には伊能忠敬のほかに同時代に生きた偉人たちが多数登場する。
彼らの生き方が私たちに与えてくれる教訓は大きい。
全5巻の大作である。読み応えがあるね。
018 古代への情熱-シューリマン自伝一
(岩波文庫)
シュリーマン 
★★
 少年時代に絵本でトロイア戦争の物語を読んだシュリーマンは、
その古都が実際に地下に埋もれていると信じ続けた。
そして考古学を勉強し、ついに遺跡の発掘に成功する。
幼き日の夢を追い続けた情熱とその生き方は感動的である。
なお、シュリーマンは幕末の日本を旅行し「シュリーマン旅行記 清国・日本」
(講談社文庫)を書いた。その中で彼は「この国には、平和、行き渡った満足感、
豊かさ、完璧な秩序、そして世界のどの国にもましてよく耕された
土地が見られる・・」と当時の日本を絶賛している。
これもぜひ読んでおきたい本である。
019 龍馬がゆく
(文春文庫 全8巻)
司馬 遼太郎 
★★★
 司馬遼太郎の作品はどれも読む価値が非常に高い。
中でも中学生に薦める本を一冊と言われたらまずこれを選ぶ。
明治維新の立役者の一人である坂本龍馬は、
絶大な人気を誇る歴史上のヒーローである。
惜しくも32歳という若さで暗殺された。
もし長生きしていたら日本の歴史は変わっていたに違いない。
彼の激動の人生を、同時代の青春群像と共に描いた傑作である。
020 宮本武蔵
(講談社文庫 全8巻)
吉川 英治 
★★★
 だれもが知っている江戸時代の剣豪、宮本武蔵の物語。
雑誌で連載中の傑作マンガ「バカボンド」
(このマンガは、もはや芸術の域に達している!)の原作である。
全8巻、約3000頁。読み終えるまでに1か月はかかりそうだ。
しかし暴れん坊の少年時代から始まる物語は、楽しく読めて、
しかも人間の生き方についての教訓に満ちている。
テレビドラマよりずっと有意義だよ。
 2006年10月12日分
021 もものかんづめ
(集英社文庫)
さくら ももこ 
 人気アニメメの「ちびまる子ちゃん」の原作者であるさくらももこの
エッセイ集はどれも面白く、かつ味わい深い。
この本に描かれた中学や高校時代の失敗談は爆笑ものである。
しかし自虐敵に自分を笑う表現の中に、中学生は共鳴するところを
沢山見だすのではないだろうか。
022 たけしくん、ハイ
(新潮文庫)
ビートたけし 
 映画であれ漫才であれ政治評論であれ、天才ビートたけしの仕事の根底には、
人間の生き様を飾りけなしで見つめるという共通点がある。
笑っているようでその視線は鋭い。この本のさりげない少年の日の
思い出話の語り口にもそれがある。
023 プリズンホテル
(集英社文庫 全4巻)
浅田 次郎 
★★
 この数年間に読んだ本の中でもっとも面白かった小説は何かと聞かれたら、
迷わずにこれだと答える。全4巻のどれを読んでも、ワクワク、ドキドキ、
ハラハラの連続である。しかも最後はウルウルと泣かずにはいられない。
時間のたつのを忘れてあっというまに読み終えてしまった。
こんな小説をいつか書いてみたいというのが私の見果てぬ夢である。
024 我らが隣人の犯罪
(文集文庫)
宮部 みゆき 
 宮部みゆきは、現代ミステリー作家の中で、もっともスッキリした読後感を
与えてくれる作家であると思う。とにかくどれを読んでもとても面白い。
はまってしまって勉強時間が足りなくなるのが心配であるが、
初めて読む中学生には、この本がいいだろう。